今日の昼間、外出先からスマホでClaudeに指示を出した。
「夜までにクラウドワークスの案件をチェックしておいて」
「Cocoonのスキン変更、試してみて」
気分はすっかり”社長が部下に指示を出している”感じだ。60代のサラリーマンが副業でAI会社を作る——そういう実験をしているわけだが、こういう瞬間はなかなか悪くない。
ところが夜、パソコンを開いてClaudeと話し始めると、何かがおかしかった。
Claudeが別人になっていた
「昼間頼んだ件、どうなった?」
Claudeの返答は、こんな感じだった。
「申し訳ありません。前の会話の内容が見えていません」
そう。Claudeはスレッド(会話セッション)をまたいで記憶を持たない。昼間スマホで話したClaudeと、夜パソコンで話しているClaudeは、同じ名前を持つ別人なのだ。
スレッドを分けた瞬間に、記憶喪失が発動する。
これは仕様だ。バグでも欠陥でもない。でも最初に直面したときは、正直「えっ、ちゃんと引き継いでくれないの?」と思った。AIと副業をやろうとしている身としては、けっこうな壁だった。
なぜ記憶がないのか
少し調べてみると、仕組みはシンプルだった。
ClaudeはLLM(大規模言語モデル)と呼ばれるAIで、会話の「文脈」をセッション内では覚えているが、セッションをまたぐと基本的にリセットされる。人間の脳のように「経験を蓄積する」わけではなく、毎回ゼロから始まるのだ。
だから「昨日の続き」が通じない。「スレッドを変えたら別人」になる。
ただ、この「記憶喪失」と格闘するうちに、Claudeにはいくつか面白いツールがあることに気づいた。記憶喪失への対策もあれば、そもそも記憶に頼らなくて済む仕組みもある。今日はその3つを紹介したい。
ツール①:Memoryに書いておく(記憶喪失への直接対策)
Claude CodeにはMemory(メモリ)機能がある。
名前、役職、プロジェクトの方針、やってほしいこと——そういった情報をあらかじめファイルに書いておくと、新しいセッションでも「前提知識」として読み込んでくれる。
具体的には、マークダウン形式(.mdファイル)でメモを書き、Claude Codeが自動的に参照するフォルダ(~/.claude/の中のmemoryフォルダ)に保存しておく。書式は自由だが、箇条書きで「自分の名前」「プロジェクトの概要」「Claude側に覚えていてほしいルール」などを書いておくのが実用的だ。
コヨーテWorksでは、このメモリを活用してClaude自身に「組織のルール」や「CEOは自分(コヨーテ)で、COOはZIGGY(別のClaude)だ」といった情報を記憶させている。おかげで毎回「はじめまして」から始めなくて済む。
完全な解決策ではないが、「引き継ぎ書」として機能する、というイメージだ。
ツール②:MCPで外部ツールとつなぐ(Claudeの手足を増やす)
MCP(Model Context Protocol)というのは、ClaudeをChromeや各種ツールと連携させる仕組みだ。
たとえばCanvaのMCPを使えば、Claudeがデザインを生成してくれる。Chrome MCPを使えば、ブラウザを操作して情報を取ってくることもできる。
つまりMCPは、Claudeの「手足」を増やす仕組みだ。単なる会話AIから、実際に何かを「やってくれる」AIへと変わる。
この連携を覚えてから、Claudeへの見方がガラっと変わった。
ツール③:Dispatch——スマホから指示を飛ばせる(これが面白い)
そして冒頭の話に戻る。昼間スマホから指示を出せたのは、Dispatch(ディスパッチ)という機能のおかげだ。
DispatchはClaude.aiのCoworkタブにある機能(現在ベータ版)で、ZIGGYのようなAIエージェントにタスクを委任できる仕組みだ。Webベースなのでスマホのブラウザからでもアクセスでき、外出先から「今日中にこれをやっておいて」と指示を投げることができる。
スマホで「案件チェックしておいて」と指示 → ZIGGYが動く、というイメージだ。
まだベータ版で荒削りな部分もあるが、「場所を選ばずAIに仕事を頼める」という方向性はとても面白い。
Dispatchはもっと便利になると確信している
今のDispatchはまだベータ版で、できることに限りがある。
でも将来的には、「スマホで指示を出したら、Claude側で段取りを組んで、夜までに仕上げておいてくれる」みたいなことが当たり前になっていくと思う。記憶喪失の問題も、AIが進化するにつれて解決されていくはずだ。
実際、Claudeのアップデートのペースは速い。数ヶ月前にはなかった機能が、気づいたら実装されている。今は「便利だけど、まだ荒削り」という印象だが、このスピードで進化していくなら、1〜2年後にはかなり違う景色になっているだろう。
60代の自分が、最先端のツールを使いながらリアルタイムで学んでいる——それ自体がこのブログのネタでもある。
記憶喪失でも、使い方を覚えれば戦える。そういうことだと思っている。
まとめ
- Claudeはセッションをまたいで記憶を持たない(仕様)
- Memory:マークダウンファイルに書いて所定フォルダに保存 → 次のセッションでも引き継がれる
- MCP:外部ツールと連携して「手足」を増やす → Claudeの能力拡張
- Dispatch:Coworkのタスク委任機能。スマホからでも指示できる → 場所を選ばない
- そしてDispatchは、これからもっと便利になると期待している
AIは万能じゃない。でも使い方を知れば、かなりの仕事を肩代わりしてくれる。
次回【ログ#004】では、クラウドワークスの案件探しを自動化した話を書いてみたい。
コヨーテWorks CEO コヨーテ


コメント